こんにちは。ROCKSの澤村 英希です。トレーニングに関する海外を中心とした研究論文と、ROCKS会員様の実データをエビデンスとしたブログを発信しています。少し長くなりますがご覧ください。
パーソナルジムに来られる方の多くは、ダイエット目的です。
「痩せたい」「お腹の脂肪を落としたい」「引き締まった体になりたい」。ROCKSでもこうしたご相談が大半を占めます。
でも、その反対の悩みを抱えている方もいます。
「太れない」「どれだけ食べても体重が増えない」「筋肉がつかない」。
この悩みは、ダイエットに苦しむ方からすると羨ましく聞こえるかもしれません。しかし本人にとっては深刻です。ガリガリと言われ続ける劣等感、服が似合わない悩み、体力がなくて疲れやすい日常。わたし自身、学生の頃はガリガリ体型でしたから、その辛さはよくわかります。
ROCKSには、こうした「太れない」悩みを持つ会員様もおられます。この場合、通常の「脂肪を減らしながら筋肉を増やす」という指導とはまったく異なるアプローチを取ります。
やることはシンプルです。食べて、食べて、食べまくってもらう。
30代のある男性会員様には、とにかくカロリーを摂ることを最優先にしていただきました。牛丼なら並を2杯。それが厳しければ、カロリーのある飲み物を飲んでもらう。食べられないなら飲んでカロリーを確保する。増量の現場は、想像以上に泥臭いのです。
わたしの師匠の言葉にこういうものがあります。
「減量はつらいが、増量はきつい。」
減量は空腹との戦いです。食べたいのに食べられない辛さ。一方、増量はお腹がいっぱいなのにまだ食べなければいけないきつさです。どちらも楽ではありませんが、増量のきつさは経験しないとわからないものです。
この食事指導には、明確な科学的根拠があります。
筋肉を増やすには、筋トレという刺激に加えて、カロリー余剰(消費カロリーよりも多くのカロリーを摂取すること)が必要です。
2019年にFrontiers in Nutrition誌に掲載されたレビューでは、筋肥大を最大化するにはエネルギー余剰が重要な役割を果たすことが述べられています。筋肉1kgを合成するのに必要なエネルギーは約1200kcal(5,000〜5,200kJ)と推定されており、さらにたんぱく質合成の代謝コストやDIT(食事誘発性熱産生)も考慮すると、体重維持カロリーに加えて1日あたり約360〜960kcal(1,500〜4,000kJ)の余剰が推奨されています。特に筋肉がつきにくい体質の方には、より積極的な余剰が必要とされています(Slater et al., Front Nutr, 2019)。
2024年にClinical Nutrition誌に掲載されたRCT(若年男性対象)では、エネルギー余剰+たんぱく質補給の組み合わせが、体たんぱく質量を有意に増加させることが示されました。カロリー余剰は筋たんぱく質合成を促進する環境を作り、筋トレの効果を最大化するのです(Clinical Nutrition, 2024)。
2021年のメタ分析(Murphy & Koehler, Int J Sport Nutr Exerc Metab)では、エネルギー不足(1日500kcal以上の赤字)の状態では、筋トレをしても除脂肪体重の増加が有意に損なわれることが確認されています。逆に言えば、筋肉をつけたいなら、カロリーが足りない状態では話にならないということです。
太れない方には、もう一つの壁があります。食欲と消化の問題です。
いわゆる「ハードゲイナー」と呼ばれる方は、基礎代謝が高く、NEAT(非運動性活動熱産生)が大きいため、食べても食べてもカロリーが消費されてしまいます。さらに、固形物を大量に食べると胃が持たない場合があります。
だからこそ、液体でカロリーを摂るという戦略が有効です。プロテインシェイクに炭水化物源(マルトデキストリンやバナナなど)を加えた高カロリードリンクは、固形物に比べて胃腸への負担が少なく、効率的にカロリーを確保できます。スポーツ栄養学の教科書でも、食事量を増やせないハードゲイナーには液体カロリーの活用が推奨されています(Jeukendrup & Gleeson, Sports Nutrition, 2018)。
たんぱく質の摂取量は、筋肥大を目的とする場合、体重1kgあたり1.6〜2.2gが推奨されています。これはBritish Journal of Sports Medicine誌に掲載された49件のRCTを統合したメタ分析で示された数値です(Morton et al., Br J Sports Med, 2018)。
その30代の男性会員様は、このアプローチを数か月間、愚直に続けました。
食べるのが辛い日もあったと思います。お腹がいっぱいなのに、もう一杯の牛丼を前にする日々。それでも諦めずに食べ続けた。
その結果、ある日こう報告してくれました。
「絶対に超えないと思っていた60kgを、人生で初めて超えました。」
わたしはこの言葉を聞いて、減量でシックスパックを手に入れたときと同じくらいの感動を覚えました。「超えられない」と思い込んでいた壁を超えた瞬間の表情は、何度見ても心が震えます。
太れないのは体質だから仕方ない。そう思い込んでいる方へ。わたしも腹筋は割れない体質だと20年間信じていました。それが40歳で覆りました。
体質ではなく、正しい方法を知らなかっただけかもしれません。
ROCKSでは、痩せたい方にも太りたい方にも、その方に合ったトレーニングと食事のアプローチを提供しています。ダイエットだけがパーソナルジムではありません。
これが実現できるのがROCKSです。
さあ、次はあなたの番です。お問い合わせお待ちしています。
ROCKSでお会いできることを楽しみにしております。
お問い合わせはこちらからhttps://gym-rocks.com/counseling/
【参考文献】
・Slater GJ et al. “Is an Energy Surplus Required to Maximize Skeletal Muscle Hypertrophy Associated With Resistance Training.” Front Nutr. 2019;6:131.
・Clinical Nutrition (2024). “Greater energy surplus promotes body protein accretion in healthy young men: A randomized clinical trial.”
・Murphy C, Koehler K. “Energy deficiency impairs resistance training gains in lean mass but not strength: A meta-analysis and meta-regression.” Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2021;32(1):1-13.
・Morton RW et al. “A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults.” Br J Sports Med. 2018;52(6):376-384.
・Iraki J et al. “Effects of Different Dietary Energy Intake Following Resistance Training on Muscle Mass and Body Fat in Bodybuilders: A Pilot Study.” J Int Soc Sports Nutr. 2019;16:75.
・Jeukendrup A, Gleeson M. “Sport Nutrition.” 3rd Edition. Human Kinetics, 2018.
・Aragon AA et al. “International society of sports nutrition position stand: diets and body composition.” J Int Soc Sports Nutr. 2017;14:16.
