大好物のハンバーグが重くなった ― 食事が変わると体が変わる、その科学的根拠

ダイエット

こんにちは。ROCKSの澤村 英希です。トレーニングに関する海外を中心とした研究論文と、ROCKS会員様の実データをエビデンスとしたブログを発信しています。少し長くなりますがご覧ください。

先日、ある会員様からこう言われました。

「昔は大好きだったハンバーグを久しぶりに食べたら、胃がずっしり重くて気持ち悪くなっちゃいました。」

この方はROCKSで筋トレと食事指導を続けて数か月。高たんぱく質・低脂質・中炭水化物の食事がすっかり定着していました。そこに久しぶりの脂たっぷりのハンバーグ。体が受け付けなくなっていたのです。

わたしはこの話を聞いて、嬉しくなりました。体が正しい方向に適応している証拠だからです。

ROCKSでは、会員様に「高たんぱく質・低脂質・中炭水化物」の食事を基本としてお伝えしています。わたしの著書でも書いたとおり、体作りのプロであるコンテスト選手たちの食事の基本は、この原則に集約されます。

たんぱく質は筋肉や体のすべての組織を作る材料。炭水化物は活動のエネルギー源。そして脂質はホルモンの材料として最低限は必要ですが、過剰に摂ると体脂肪として蓄積されるだけでなく、消化にも大きな負担がかかります。

ハンバーグが重く感じるようになった理由は、体が低脂質の食事に適応した結果、高脂質の食事を処理する能力が変化したためです。これは感覚的な話ではなく、研究で裏付けられた生理現象です。

脂質の多い食事を摂ると、胃の排出速度(胃から腸へ食物を送る速さ)が遅くなります。食物中の脂肪酸が十二指腸に到達すると、コレシストキニン(CCK)やGLP-1、PYYといった消化管ホルモンが分泌され、これらが胃の幽門を収縮させて胃の排出にブレーキをかけるのです(Seimon et al., Am J Physiol, 2013)。

つまり、脂質の多い食事は物理的に胃に長くとどまります。これが「胃が重い」「胃もたれする」という感覚の正体です。健康な人でも、高脂質の食事後に満腹感、膨満感、悪心が有意に増加することが臨床試験で確認されています(Levine et al., Gut Liver, 2015)。

そしてここからが重要なのですが、消化管は食事内容に適応します。

American Journal of Physiology誌に掲載された研究では、14日間の高脂質食を続けた後、脂質を含むテスト食の胃排出速度が有意に速くなったことが報告されています。幽門の収縮反応が鈍くなり、脂質の消化吸収能力が上がったのです(Castiglione et al., Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol, 2002)。

もう一つ、British Medical Journal系列に掲載された研究では、高脂質食を14日間摂取した群と低脂質食を14日間摂取した群で、同じ高脂質テスト食の胃排出時間を比較しています。結果、低脂質食の期間後に高脂質食を摂ると、胃排出の半減期が147分だったのに対し、高脂質食の期間後では98分でした(Cunningham et al., Gut, 1991)。

つまり、普段から脂質の少ない食事をしていると、体は脂質の処理に対して「敏感」になります。たまに高脂質の食事を摂ると、脂肪酸に対するホルモン応答が強く出て、胃の排出が大幅に遅くなり、「重い」「気持ち悪い」と感じるようになるのです。

逆に、普段から脂質の多い食事をしていると、体はそれに慣れてしまい、ブレーキが効きにくくなる。その結果、食べ過ぎても気づかず、脂肪が蓄積していくという悪循環に陥ります。

さらに、腸内フローラも食事に適応します。

2014年にNature誌に掲載されたDavidらの研究は、食事が腸内細菌の構成をわずか24時間で変化させることを実証した画期的な論文です。動物性食品中心の食事に切り替えると、胆汁酸に耐性のある菌(Bilophila、Bacteroidesなど)が増加し、食物繊維を分解するFirmicutes門の菌が減少しました(David et al., Nature, 2014)。

高たんぱく質・低脂質の食事を続けると、腸内環境もそれに最適化されていきます。UCLAの研究チームによるRCT(80名の肥満者対象)では、高たんぱく質食のグループは腸内細菌の多様性が有意に増加し、有益な菌であるAkkermansiaやBifidobacteriumが増えたことが確認されています(Dong et al., Nutrients, 2020)。

腸内環境が変われば、体が求める食事も変わってきます。脂っこいものを「食べたい」と思わなくなること自体が、腸内細菌の変化と関係している可能性すらあるのです。

ハンバーグが重く感じるようになったということは、あなたの体が正しい食事に適応し、消化管のホルモン応答が正常化し、腸内環境が整ってきた証拠です。

これは「好きなものが食べられなくなった」ではなく、「体がクリーンな状態になった」ということです。

わたしは会員様の体が変わっていく過程を、トレーニングの成果だけでなく、こうした食の変化からも感じ取っています。見た目の変化より先に、体の内側は確実に変わり始めている。

食事が変われば体が変わる。体が変われば、体が求めるものも変わる。この好循環に入ったとき、体作りは加速していきます。

これが実現できるのがROCKSです。

さあ、次はあなたの番です。

お問い合わせお待ちしています。

ROCKSでお会いできることを楽しみにしております。

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【参考文献】
・Levine ME et al. “Lipase Supplementation before a High-Fat Meal Reduces Perceptions of Fullness in Healthy Subjects.” Gut Liver. 2015;9(4):464-469.
・Castiglione KE et al. “High-fat diet effects on gut motility, hormone, and appetite responses to duodenal lipid in healthy men.” Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol. 2002;284(2):G188-G196.
・Cunningham KM et al. “Gastrointestinal adaptation to diets of differing fat composition in human volunteers.” Gut. 1991;32(5):483-486.
・David LA et al. “Diet rapidly and reproducibly alters the human gut microbiome.” Nature. 2014;505(7484):559-563.
・Dong TS et al. “A High Protein Calorie Restriction Diet Alters the Gut Microbiome in Obesity.” Nutrients. 2020;12(10):3221.
・Seimon RV et al. “Effect of high fat-diet and obesity on gastrointestinal motility.” Ann Transl Med. 2013;1(2):14.